ある日、歴史ある旧家、鷹栖(たかす)家の前に一人の青年が立った。
その青年、主人公『今神夾耶(いまがみ・きょうや)』は、10年前までは母と一緒に
この館に住んでいたのだが、鷹栖家当主『兼光(かねみつ)』に理不尽な仕打ちを受け、
母ともども追い出された身の上だ。
追い出された後、貧困の中で母は死んだ。
夾耶は自分たちをこんな境遇に追いこんだ鷹栖家への復讐を誓い、
舞い戻ってきたのである。
復讐すべき当人、兼光はすでにこの世になかったが、
息子『聖斗(まさと)』その妹『琴乃(ことの)』、聖斗の婚約者『碧月(みずき)』、
メイドの『美緒(みお)』、兼光の後妻『小夜子(さよこ)』といった人間たちがまだ残っていた。
夾耶の復讐心は彼らに向けられる。
鷹栖家と、鷹栖家につながるものすべてをおとしめ、腐らせてしまうのだ。
夾耶は、表向き人当たりのいい善人を装い、裏で女性たちを一人、また一人と籠絡し、
自分のものにしてゆく……。